アレルギーって、この10年ものすごくよく耳にするようになりましたよね。食品アレルギー、ダニアレルギー、金属アレルギー、中には対人アレルギーなんていう言葉まで聞くようになりました。アレルギーで蕁麻疹ができたり、気分が悪くなったりする話はよく聞きます。
アトピー性皮膚炎もアレルギー症状の一種だといわれています。特に恐ろしいのはアレルギー症状の中でも命にかかわるアナフィラキシーショックと呼ばれるものです。アナフィラキシーショックを起こすと呼吸困難に陥り、場合によっては死亡してしまうこともあります。
また遅延型反応といわれる症状は、実際にアレルギー物質にかかわったあと一日か二日ほどたってから反応が出るので、アレルギー反応とわからないことが多いのです。
厄介なアレルギーの原因は何なのでしょうか?
アレルギーとコラーゲン
アレルギーって何?
アレルギーとは、ひと言で言ってしまえば過剰免疫症という症状です。本来は体に害がないもの、あったとしてもごく微細な害のものに対して、体の中で過剰に抗体ができてしまうために炎症や呼吸器の症状が出るものをいいます。
例えばダニアレルギーの場合、ダニが呼吸器に入ると一般的にせきやくしゃみなどで排出するのですが、過剰に反応してしまう体質の場合には、喘息症状や慢性的な涙や鼻づまりが起きて生活に支障が出てしまうのです。
金属アレルギーの場合には金属に過剰に反応する症状で、金属が触れた部分に蕁麻疹ができます。ひどくなると蕁麻疹が体じゅうに広まることもあります。
コラーゲンがアレルギー症状を引き起こすのは、食品アレルギーの場合です。食品アレルギーとは、特定の食品が体に入った時に、体がその食品成分を有害物質と勘違いして過剰に反応してしまうのです。軽度の場合には蕁麻疹が多いのですが、ひどくなると嘔吐や呼吸困難などが起きます。
コラーゲンがアレルギーの原因になる?
コラーゲンがアレルギーの原因になる場合は、そのコラーゲンの原料が問題になります。コラーゲンは、牛・豚・鶏・魚などを原料にして作られます。どの原料も、普通の食事に食べられている一般的な食材です。
ところが、これらの食品にアレルギー反応を起こしてしまう人がいるのです。アレルギーは個人によって起きる成分や食材が違います。しかし、いろいろな食品の中でも特にアレルギー反応を起こす人が多い食材が特定されています。
厚生労働省が特定するアレルギーが多い食品
卵、乳、小麦、落花生、えび、そば、かに、いくら、キウイフルーツ、くるみ、大豆、バナナ、やまいも、カシューナッツ、もも、ごま、さば、さけ、いか、鶏肉、りんご、まつたけ、あわび、オレンジ、牛肉、ゼラチン、豚肉
残念なことに、コラーゲンの原料になる牛、豚、鶏、ゼラチンがこの中に入っているのです。またマリンコラーゲンの原料は魚のウロコなどですが、これも魚の種類によってはアレルゲンになる可能性があります。
基本的に日ごろの食事で食品アレルギーがない人は、あまり気にする必要はありませんが、気になる場合には少量から初めて様子をみましょう。コラーゲン注射をする場合には、事前にアレルギー検査をします。
アレルギーが心配な人はどうすればいい?
植物性コラーゲンとは?
コラーゲンといえば動物性たんぱく質と信じている方も多いでしょう。ところが近年、植物性コラーゲンというものが話題になっています。コラーゲン独特のアミノ酸であるヒドロキシプロリンが含まれていることが分かりました。
コラーゲンと同じようにお肌をみずみずしく保つ効果があることも確認されており、それを”植物性コラーゲン”と呼びます。厳密にいうと、コラーゲンではなくてコラーゲンと似た働きをする成分のことをいうのです。
ニンジンのほかに、大豆のねばねば成分やアーモンドの脂肪分が粘り気のある成分になって、それを植物性コラーゲンと呼ぶ場合もあります。
植物でもアレルギー不安は消せない
ただし、植物はアレルギーとは無関係と安易に決めつけるわけにもいきません。実際に大豆は比較的アレルギーの多い食品です。また、アーモンドも食品アレルギーが多いのです。となれば植物性コラーゲンもまたアレルギーの素になる可能性は低くはないということです。
現在、アレルゲンとして知られてはいない成分でも、その人の体がもつ免疫機能が「危険だ」と判断すれば、昨日まで大丈夫だったものもアレルゲンになります。そういう意味では、この世の中に全くアレルギーを起こす可能性がなかった成分でも、なんとなく風邪気味で免疫力が落ちたタイミングをきっかけに、その日からアレルギー体質が定着する可能性も否めません。
確かにコラーゲンは過剰摂取しても害がないと言われます。ただ、ある日突然体内の免疫機能に「危険だ」と思われないようにするには、適度な摂取が大切です。サプリメントなどの摂取目安量も無視はできません。
ヒト型コラーゲンなら大丈夫?
コラーゲンは原料によって、三重のらせん構造が微妙にちがいます。牛・豚・鶏・魚のコラーゲンにはそれぞれ独特の構造的な特徴があるんです。そのため、これらのコラーゲンが体内に入った時には、体の免疫機能が者によっては「危険だ」と感じてしまうのです。免疫機能は、蕁麻疹や熱、吐き気、頭痛などを起こして体に危険を知らせるのです。これがアレルギー反応です。
ヒト型コラーゲンと人間のコラーゲンは似ている
ヒト型コラーゲンは人間のコラーゲンとよく似た構造です。人間の免疫機能は見慣れていて特に違和感を感じません。そのためアレルギー反応は起こらないのです。
ヒト型コラーゲンは実際にはカイココラーゲンのことです。カイコをヒト型コラーゲンを生成するように遺伝子組み換えをするのです。ヒト型コラーゲンなら、アレルギーリスクは大きく軽減されます。
ただし、ヒト型コラーゲンは一度に少量しか作れないため非常に高価なのです。コラーゲンドリンクやサプリメントにヒト型コラーゲンを使うと、ずいぶん高いものが出来上がってしまいます。ヒト型コラーゲンの利用状況を見てみると、美容クリニックで行われるコラーゲン注射に使われているのが現状のようです。